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子宮外妊娠 その1 ~症状発現編~

日記

2021年9月10日、めでたいはずの31歳の誕生日に緊急入院&緊急手術をキメて参りました。
わたしの中のバイきんぐ小峠が「なんて日だ!!!!!!」と叫んだのは言うまでもありません。

今回入院と手術をした理由は、右卵管における子宮外妊娠。
子宮外妊娠は異所性妊娠とも呼ばれ、本来子宮内膜に着床するはずの受精卵が別の場所で着床し、発育が進んでしまうケースを指します。
わたしの場合は、子宮外妊娠の中で最も多いとされる卵管で起きました。
結果、手術で右の卵管を切除することに。

先にお伝えしておきますが、手術は無事に成功して今は元気いっぱいです。
子宮外妊娠だったこと、それによって右卵管を切除したこと、わたしはただのひとつも気にしていません。
あぁ~! 生きててよかった~! これに尽きます。

婦人系の疾患や妊娠にまつわるアレコレは、とてもセンシティブな話題です。
今現在婦人系の症状で悩んでいる方、過去にわたしと同じ経験をして今も自分を責め続けている方、誰かからの心無い言葉に傷ついた方、きっといらっしゃるでしょう。
このブログを読んで、そんなつらい気持ちがフラッシュバックする可能性が少しでもあるのなら、すぐに読むのをやめて推しの動画もしくはかわいい猫ちゃん犬ちゃんの写真を見ることをおすすめします。
読みたくないもの、自分の心がざわざわするものは、読まないのが一番です。

なぜわたしがこれを書くのかというと、少しでも異常を感じたら受診をしてほしいという注意喚起の目的、そして同じような経験をした人たちに「あぁ、そういう心の持っていき方があるんだ」と少しでも気持ちが楽になってほしいというのは少なからずありますが、それ以上に「死ぬほど痛かったしなかなか大変だったんだが?! ただただしんどい目に遭っておしまいだなんてなんか癪じゃない?!」と思うから。
自分が書きたいから、自分のために書く。ただそれだけです。

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2021年8月11日(水)
7月末の生理が終わって1週間後。
夕食後、トイレで用を足して何気なくトイレットペーパーを見てみると、少量ではあるが血がついていた。
見落としてしまう人も少なくないだろうが、「アーモンド臭……青酸カリ?!」でおなじみの名探偵コナンを愛読していたお陰か、「不正出血……婦人系の疾患?!」と探偵の勘が働いた。
とりあえず、善は急げである。
恋愛も喧嘩も体調不良も、つまらない駆け引きは不要。「今だ!」と思ったらすぐに行動するが吉。

2021年8月12日(木)
近所にある婦人科を受診。
気配を感じられない尿意を必死に手繰り寄せ、膀胱を絞り上げてなんとか尿検査を終えたあと、エコー検査をしてもらうことに。
「尿検査結果、妊娠はしてないもんね~」
「卵巣も子宮も非の打ち所がない! パーフェクツ!」
「たぶんストレスで女性ホルモンがスパークしちゃったかな~?」
「スパァーク! ね、スッパァーク!!!」
ずいぶん単語のチョイスにクセのある医師である。
要するに「ストレスによる一時的なホルモンバランス乱れ、放っておいても2~3日で治る」とのこと。
念のため子宮頸がんと性病の検査をして、この日は帰宅した。

2021年8月18日(水)
クリニックから送られてきた子宮頸がんと性病の検査結果は陰性。
一安心したいところだが、未だに不正出血は続いている。
わたしの女性ホルモンはどれほど大乱れしているのだろう。
原因はストレスだろうと言われているが、ストレスのある生活を送っている自覚はない。
あれか? 原稿が締め切りに間に合わなくて担当さんに謝罪のメールを送るのがストレスになっているのか?
いやいや、ストレスを感じているのはわたしではなく担当さんだろう。
じゃああれか? 職場の上司がクソクソクソだからか? そいつを殴れば出血は治まるのか? どうなんだ?!
原因がなんであれ、一向に出血が治まる気配がないである。
兎にも角にも、原因を知りたい、そして出血が止まってほしい一心で、再度婦人科を受診することにした。

決して診断内容を疑っているわけではないが、「パーフェクツ」だの「スパァーク」だの乱用する医師との会話は消耗する。
そのため、今回は前回とは別のクリニックを受診した。
問診で、最終月経日とその期間、不正出血が続いていることや若干下腹部に違和感があること、1週間前に別のクリニックを受診したこと、尿検査をしたが妊娠はしていなかったこと、子宮頸がんと性病の検査結果は陰性だったこと、ホルモンバランスの乱れで2~3日で治まると言われたが一切その気配がないことを説明する。
問診のあとエコー検査をしてもらったが、やっぱり子宮や卵巣には異常が見当たらないという結果に。
結局原因はわからないままで、検査中に思わず「やっぱり今年前厄だからですかね?」と聞き、医師に「因果関係はありませんね……」と返され、無駄に恥をかいてしまった。
大股開きの状態で思い切りスベるのは、かなり恥ずかしい。

原因ははっきりとわからなかったが、このまま不正出血が続くのは望ましくないため、ホルモン注射での治療を行うことに。
流れとしては、まず卵胞ホルモンを打って排卵を誘発する。
これによって、大半の人は出血が止まる。
そして1週間後に再度受診し、次は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類を打って、生理を起こす。
要するに、本来は自然と起こる現象を注射によって促すというわけだ。
このホルモンについては大学で勉強した気がしなくもないが、当時の知識はもはや宇宙の彼方に葬られている。

医師の説明を聞き終えたあと、看護師に右尻を差し出し、卵胞ホルモンを打ってもらってこの日は帰宅した。
「次の受診のときは看護師に言って左に打ってもらってくださいね!」と言われたが、覚えていられるか不安である。

2021年8月25日(水)
不正出血が、止まらない。
出血量が減ることも増えることもなく、ただ淡々と続いているのが、非常に鬱陶しい。
超健康優良児として生きてきた身としては、「なんで?」という困惑や「どうしたんだろう……」という不安よりも、「いやもうね! いい加減にしてくれる?! こちとらヘルシー一本でやらせてもろてるんですわ!」とイライラが募るばかりだ。

再び受診し、医師に不正出血が続いていることを伝えた。
「え?! まだ止まってない?! 珍しいですね、ほとんどの人は1回目の注射で止まるんですが……」
不正出血の止まらなさで“他の人とは違う自分”“個性的な自分”を演出されては堪ったもんじゃない。
ただ、医師によるとホルモンバランスの乱れが原因で他に異常がなければ、2回目の注射を打つことで2~3日でほぼ100%出血が止まり、8月30日頃に生理が来るとのこと。
「次こそ止まってくれ~!」と願いつつ、この日は左尻を看護師に差し出し帰宅した。

2021年9月4日(土)
「2~3日で出血は止まる」「8月30日頃に生理がくる」と言われていたにもかかわらず、不正出血はずっと続いている。
もしかしたら生理がきているのかもしれないが、絶えず出血しているためその判断すらできない。
そして三度、婦人科を受診することに。

出血が治まらず、生理がきたかどうかもわからないことを伝えると、医師は「え?! 止まってない!?」と驚きつつも少し考える素振りを見せ、「……ほんとうに妊娠はしていないんですよね?」と尋ねてきた。
はじめ受診したクリニックで尿検査による妊娠判定をしたのは、8月12日。
生開始予定日の2週間後である。
通常、妊娠をしていれば生理予定日の1週間後から市販の妊娠検査薬でも陽性判定が出るため、尿検査をしたのが早すぎたというわけではない。
しかし、1か月近く不正出血が続き、子宮頸がんでもない、性病でもない、ホルモン治療の効果なしとなれば、さすがに嫌な予感がしてくる。
「あの、改めて尿検査してもらうことってできますか?」とお願いをし、急遽尿検査をしてもらうことに。

結果、妊娠判定は陽性。
わたしは、妊娠していたのだ。
まさしく寝耳に水、晴天の霹靂、驚き桃の木山椒の木である。

医師からの説明をまとめると、こうだ。
通常の妊娠であれば、8月12日の尿検査で陽性判定が出ていたはずだ。
しかし、この妊娠は元から育たない受精卵で、妊娠すると上昇するhCG値が非常に微量だったため、検査結果は陰性。
7月末にわたしが生理だと思っていたのは実際には生理ではなく、恐らく妊娠10週だろうとのこと。
この時点で可能性として考えられるのは、初期流産か子宮外妊娠。
ただ、流産と子宮外妊娠の区別を早期にエコーで診断するのはとても困難で、何度か採血をしてhCGの数値を比較する必要がある。
このまま流産すればhCG値は0になるが、子宮外妊娠であれば上昇していくらしい。
これまで何度かエコー検査をしたが、子宮で胎嚢が確認できないことから、通常妊娠の可能性はゼロであるとはっきり言われた。

実を言うと、7月中旬になんとなく「妊娠したかも?」と感じていた。
完全に野生の勘である。わたしの野生の勘はほんとうに鋭いと自画自賛もしたくなる。
しかし、7月末に生理(だと思っていた出血)があったことから、気のせいだったとのんびり構えていたが、ここにきて妊娠していたこと、でもそれは通常妊娠ではなかったこと、流産もしくは子宮外妊娠である現実が突き付けられた。

これだけは言っておきたいのだが、妊娠した女性の約10%が初期流産に至るという統計が出ている。
約10人に1人が流産。決して少なくない数字だ。
妊娠を望んでいる人からしたら、流産はとてもつらいこと事実だと思う。
初期流産は母体のせいではなく、あくまでも胎児側の問題でもともと成長しない受精卵なのだが、流産を経験した女性の中には「自分のせいだ」「きっとこの行動がよくなかったんだ」と自分を責めている人もたくさんいるだろう。
そして子宮外妊娠はすべての妊娠のおよそ1%。100人に1人の確率で起こるとされている。
性感染症歴、体外受精や子宮手術の経験などでリスクは上がると言われているが、基本的には原因不明。
流産同様、母体の生活や行動のせいではないのだ。
どうか、自分を責めないでほしい。あなたは、何も悪くない。

「子宮外妊娠だと手術をしなくてはいけません。だから初期流産であることを祈りましょう」
本来であれば、流産はとてもかなしい事実のはずだ。
それなのに、流産であることを願わなくてはいけないなんておかしな話である。
「変なの」と思いながらも、採血のため看護師に腕を差し出した。
「血管ほっそ! ぜんぜん血が採れない!」と焦る声が、とても遠くに聞こえた。

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