シューイチ『食べヨムツアー第6弾』で、アルコ&ピース平子さんに著書『今日もふたり、スキップで~結婚って ‶なんかいい″』をご紹介頂きました!

女の真の敵は女とかもうやめて

日記

なんだかエッセイストとは名ばかりの引きこもり主婦だと思われがちだが、一応わたしも社会生活を送っている。
これでもちゃんとやってんすよ、薬剤師。
公共の交通機関を利用して出社し、疲れただとお腹が空いただのとグチグチ不満を言いながらもきちんと業務をこなし、毎月働いた分のお給金をいただき、嫌々ながらも税金を納めているわけです。
こうやって外で働くのは、以前京都で正社員として勤めていたとき以来。
いやー正社員やってたときは認識できてたはずなのに、ちょっと引きこもってる間に忘れてたね!クソッタレが存在することを!

夫をはじめ、昔からの友達にしろ、エッセイ業の仕事相手にしろ、名前もわからん飲み友達にしろ、みーーーーんないい人たちなんだよね。
わたしが普段接する男性たちはみんな紳士的だし、生物学的な男女の違いというものを理解したうえで、一個人としての尊敬と気遣いが根底にある。
だから、外で働くようになって「そうだった!セクハラクソジジイってこの世に存在してるんだった!」ってことを再認識した。
あぶねーあぶねー。社会とのギャップを生じたまま生活するところだったよ。

基本的にはっきりと意思表示ができるし、さらっと流すだけでなく拒絶することもできるので、現時点では困っちゃいない。
セクハラクソジジイに「頑張ったご褒美にごはん連れてってあげるね~」と言われても「どうしてそれがわたしにとってのご褒美になるんですか?そういうの結構なので代わりに非課税の賞与をください」と返せるし、下ネタをはじめその他諸々のセクハラ発言をぶつけられても「不快です。これはあえて毒舌で返して笑いにしようという意図での発言ではなく、本心です」と一蹴できる。
ただ、これはわたしがそういうことを“言える性格”で“言える立場”だから、というわけで。
もともと楽観的で、むしろ言わずにはいられない喧嘩上等な性質なのもあるけれど。
つらい経験があって言えない人だっているし、言うことができない立場の人だっている。
意思表示をすることで自分の立場が危うくなって職を失う人だっているからね。
だからなんでもかんでもちゃんと言えよ!とは絶対に思わない。
意思表示をしても立場が危うくならない社会に、それ以前にそういうセクハラが存在しない社会になるべきなんだよね。
そうなんですよ、その通りなんですよ。
ただまあ、なかなかそう簡単にはいかないものなんだよねぇ。
きちんと声を上げる人も増えてきたし、社会を変えようと行動している人もいる。
誰しもが生きやすい社会にするために立ち上がっている人たちには、ほんとうに頭が上がらん。

恋愛相談の連載をしているからか、はたまた恋愛や結婚に関するエッセイを書いているからか、それともTwitterでの発言によるものなのか。
何をもってそうなるかはわからないけれど、たまに「女性たちの言葉を代弁してくださってありがとうございます!」「そうやってズバッと言ってくれたから社会は変わっていきます!立派です!」とメッセージをもらうことがある。
いやいやいや、わたしはそんなに大層な人間じゃないんですよ……勘弁してつかぁさい……と思う。
別に、誰かの気持ちを代弁しようだなんて思って行動したことは一度もない。
セクハラクソジジイに言い返すのも、女性の立場とか同じような経験をした人を思ってでなく、ただ単にわたしがムカついたから。
クソッタレ!と思ったので、そのままクソッタレ!と意思表示をしたに過ぎない。
なんだったら、てめぇマジで舐めんなよ、やるか?殴り合いすっか?と戦闘態勢になっただけ。
こういうところできちんと言うことが相手の意識を変えるきっかけになる、とも思ってない。
ひどいことを言ってきた人間の性格を変えてやろうだなんて、やさしい気遣いなんて持ち合わせてない。
いつだってわたしはそういうことをしてくる奴に対して(孤独なまま長生きしろ……)としか思わない。

自分が嫌なことを言われたら真正面からぶん殴るし(比喩です)、大事な人がそんな目に遭っていると聞いたらブチ切れて一緒にクソミソに言うし(これは比喩ではない)、目の前でそういう状況に陥ってたら「クソみてぇなことすんなよ!」と背後からハイキックする(比喩です)。
誰か社会を変えてくれ~~~~~と他力本願になっているわけではなく、全人類だなんてのはわたしには荷が重くて無理だから、自分の手の届く範囲の人のためにはしっかり戦っていこう(あと純粋にそういうセクハラしてくる奴はムカつくから)ってだけ。
だから、称賛なんてせんでくれ……マジで……。
また喧嘩してるよ、あのポジティブゴリラ、くらいに思っててくれ。

そもそも、世代だったり性別だったりで価値観が似通うっていうのはたしかにあるとは思うし、何年も過ごしていた環境に考えが染まりがちっていうのもわからなくはないんだけど、でもそれって一概には決めつけられないと思うんだよなー。
なんか共通の敵をつくるじゃないけど、カテゴライズすんの嫌じゃない?
「女の真の敵は女だ」とかさーマジでやめてよねー。
男だからーとか、女だからーとか、ずっと男社会でやってきたからーとか、結婚してないからーとか、そういう決めつけをしちゃったらむしろいい方向にいくことなくない?って思う。
環境や世代や性別が全く影響しないとは言い切れないけれど、でもクソみたいなことをしてくるのは、その人が属しているカテゴリーやコミュニティーの人たち全員ではなくて、その人自身でしょう。
しっかりと常識的な人は、性別年齢関係なく、存在するからね。

ダブスタにならんようにしないとね。これは自戒も込めてです。